地球に接近する小惑星

去年の末、ロシア連邦宇宙局の長官が2032年に小惑星が地球に衝突する可能性をあげ、それを防ぐための会議を各国の宇宙機関へ呼びかけました。その小惑星はアポフィス、不吉なことにエジプト神話に出てくる悪神の名前が付けられています。2004年に発見されてから、今まで衝突の可能性が何度か話題になりました。比較的地球に近い軌道を回るアポフィスは300mほどの大きさですが、もし地球に落ちたらフランスと同じくらいの砂漠ができるそうです。小さくても鉄砲の弾の10倍以上の速さなので大変です。ただし地球上の70%は海で、さらに陸の人が多い部分に落ちる可能性は少ないといえます。他にも地球に接近する軌道をもつ小惑星や彗星があり、まだ発見されていないものもあるでしょう。ロシアでは1908年にツングースカの森林で起こった大爆発が小惑星か彗星によるとされます。幸いアメリカのNASAはアポフィスが次によく接近する2029年と2036年には衝突の可能性はまずないと見ています。それでも、いつか巨大なものが落ちるのは確実です。現代文明が破壊されるほどの隕石は1億年に1個くらい、そのせいで6500万年前に恐竜が絶滅したという説があります。直接の被害よりも、衝突で上空へ巻き上がった膨大なチリが太陽の光をさえぎって暗く寒く、地球全体が氷河期のようになることが大きいのです。一方で、太陽系の惑星の中では木星と土星がずば抜けて大きく引力が強いおかげで、近づく小惑星を引き寄せてくれます。1994年に木星に落ちたシューメーカー・レヴィ彗星がもし地球に来たらどうなっていたでしょうか。そんな時ぐらいは世界の国々が一つになって最善の方法を見つけてくれると良いのですが。