森田優子

皆さん、お久しぶりです。森田です。京都に来てからもうすぐ4ヶ月になります。
こちらに来る前、造形の先生方をはじめ、子供達とお母さん方、その他皆さんから温かい励ましのお言葉をいただきました。誰も知っている人のいない土地での生活に不安はありましたが、子供達のお母さん方の中には、県外から高知へいらしている方も多く、お話をするなかで私もがんばろう!と勇気をいただきました。
こちらに来たのは3月の始め。話には聞いていましたがその寒かったこと!盆地の京都の寒さと暑さの厳しいことは有名ですが、それにしてもこの足下からくるしんしんとした冷気はなんだ!?と少しだけ京都の寒さ(それでも真冬ではないのに)を実感しました。
家の周りは自然がいっぱいで良い環境です。今はもう夏真っ盛り。高知ほどの日射しの強さはないですがやはり蒸し暑い!近くの川でザリガニを捕る近所の子供達の声がにぎやかに聞こえてきます。
たまに電話などで教室の先生方から、造形の子供達の近況を聞かせてもらっています。元気そうな子供達の姿を目に浮かべながら、また大きくなっているのだろうなあ、と懐かしく思っています。でももう忘れられているかな・・・とも思いつつ、みんな元気で過ごしていてもらいたいです。
私も暑さに負けず、がんばります!それではまた。

−私たちのなかの子どもへ− (20) 久保慧栞

『のっぽのサラ』
(著者:パトリシア・マクラクラン / 訳:金原瑞人 / 絵:中村悦子 / 出版社:福武書店)

 アメリカの大草原で、アンナと弟のケイレブとお父さんだけだった家族に、サラという新しいお母さんが「お試し」でやってくることになりました…ええ?と思いますよね。でもちょっと昔のアメリカでは、花嫁募集広告を見て文通して決める、そういう結婚もあったのだそうです。
 新しい家族との暮らしが始まるとき、何より心配なのは、この関係がいつか壊れることかもしれません。まだ幼いアンナたちはサラが故郷の海辺を恋しく思って帰ってしまいやしないか、心配でした。亡くなったお母さんのことも、まだ忘れるどころではありません。そんなに若くはないサラにとっても、本当の家族になれるかどうか不安はたくさんあったはずです。
 一緒に暮らすサラのことばのはしばしをとらえ、「そのうち」とか「うちの」とかいった断片があらわれるたび、二人の子どもはうれしくてなりません。子どもはそんな風に、大人の言ったことばを熱心な耳で聞いているのだなあと、あらためて思わされます。
 この物語には続編『草原のサラ』があり、結婚というハードルを越えて家族になった一家を、干ばつと別離の危機が襲います。そちらもぜひ読んでほしい珠玉作です。

ラーラ

 今年の夏は、終戦から60年目、広島長崎から60年目です。
 高知では、平和資料館・草の家が中心になって「ピースウェイブ2005in 高知」が、6月末から8月末までくりひろげられています。「戦争と平和を考える資料展」や「歴史歪曲NO! 東アジアの平和YES! 教科書展」はもう終わったけれど、吟・舞・朗読・合唱でつづる『60年目の夏』平和演劇祭が8月14日(日)県民文化ホール・オレンジで、芝村和之さんと平和の歌を唄おう『平和のための子どもの集い』が8月15日(月)草の家であります。
 さらに、8月27日(土)28日(日)には平和映画祭『映画 日本国憲法』が自由民権記念館で上映されます。これは、『チョムスキー9・11』のジャン・ユンカーマン監督が、日本国憲法を世界の人々がどうとらえているのかをインタビューで構成した作品で、私は6月に仲間たちとDVDで見ましたが、深い示唆に富んでいます。ぜひご覧ください。私ももう1度見て、反芻するつもりです。
 広島ではグリーンピースジャパンが 8月5日(金)『鳩バルーン・ピースパレード』を計画しています。これに先立ち、核のない平和な世界と六ヶ所再処理工場の停止を求めるメッセージを世界中から集める『平和の羽根』プロジェクトが始まっています。ここに寄せられたメッセージは1枚の羽根として鳩バルーンを飾り、8月5日(金)午前8時、広島の空へ大きくはばたいて核のない平和な世界をアピールする予定です。締め切りは8月2日(火)です。みなさんもメッセージを送ってみませんか!?
ふしぎなおばあさん 都築房子/え・Bun

ある晴れた日、ちょっとふしぎなおばあさんに出会いました。
顔はよく日に焼けていて、頭にずきんをかぶり、見なれない服を着て手にはふろしきづつみを持っています。いつも通る道で いつのころか このおばあさんと出会うようになりました。はじめは気にしてなかったのですが、そのうちふしぎなことがあって何だかおかしいなあと思うようになりました。

ふしぎなこと・その 1
ある時、自転車に乗ったおじさんが、ふしぎなおばあさんとぶつかりそうになりました。しかし、そのおじさんはすうっと、おばあさんの体を通りぬけて何もなかったように、そのまま自転車で走っていきました。


ふしぎなこと・その 2
またある時、ふしぎなおばあさんは 土手をすうっと通りぬけて、川の上をすたすたと歩きだしました。まるで地面の上のように。
そして、川の真ん中まで行くと 大事そうに何かを持ち上げては風呂敷に包んでいました。

その川の辺りは、ちょっと前まで「こびとさんの島」があったところです。みなさんは「こびとさんの島」って知っていますか。
とうとう ある日、おばあさんにたずねてみました。「どうして、川のまん中を歩いていたの?」
すると、おばあさんはいいました。「こびとさんに頼まれて、忘れ物を取りに行っているのだよ」
こびとさんたちは、島がなくなる時 大急ぎで脱出したので、たくさんの思い出を そこに忘れてきてしまったのです。
島のあったところには、こびとさんたちの思い出がいっぱい浮かんでいて、それをおばあさんがふろしきにつつんで持って行ってあげるのだそうです。
おばあさんは、こびとさんから頼まれるたび、川に出かけて行きます。
そして、1つずつ思い出をひろってはふろしきにつつんで、それをこびとさんに届けていたのです。
ところで、
島がなくなって、こびとさんたちはどこに行ったのでしょうか。私たちには見えなくても、おばあさんには今もこびとさんがくらしていた島がはっきりと見えるそうです。そしてもちろん、こびとさんのいるところも知っています。
私たちは、ふしぎなおばあさんの姿は見えますが、島も浮かんでいるこびとさんの思い出も見えなくて、こびとさんたちが今どこにいるのか知りません。
それでも、にもつでいっぱいの風呂敷とおばあさんを見かけるたびにきっとどこかで、こびとさんが元気にくらしているんだなあとうれしく思います。
もしかして、こびとさんの思い出を全部はこんでしまったらふしぎなおばあさんを見かけることもなくなってしまうのでしょうか。

これは5月にnBoxのブック展へ出品した絵本からです。6月号に掲載した「こびとさんの島」の続編にあたります。2冊ともカラーで販売していますので、興味がある方は教室にお問い合わせ下さい。都築