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  個展4月16日〜29日・神戸・ギャラリー2001

   


  「Paper Works 2000 INO」展(3月26日〜4月16日・高知県吾川郡伊野町・伊野町紙の博物館

同時開催「第10回 用の紙展・ペーパーアート」(ギャラリー・コパ)への出展作品

 20世紀の今日まで、私たちの文明を支えてきた「紙」は、近年次第にその接点を失いつつあるように思われる。コンピューターの普及などによって単なる記録としてとどめるだけなら、紙は不要になってきている。そして鉄とコンクリートに代表される文明は、生活環境からも紙を徐々にしりぞけてきた。

 その結果、私たちの築いてきた文明は、そのあちこちにほころびを見せ、崩壊のきざしすら感じられるようになってきている。 このような今こそ、歴史的時間に耐えうる「紙」という素材を見直す時ではないだろうか。

 鉄は朽ちても和紙は残るとさえ言われるほどに、その本来の強さを持つ「紙」は、私たち人間の身体や空間に関わり、精神的な支えとなる物質である。「紙」は人類が長い歴史の中で生み出してきた様々な物の中でとりわけ優れた発明品であるといえよう。ことに和紙は物質としての深さを持ち、日常性と断絶することのない柔らかさと温もりを持っている。

 この紙を表現手段として考える時、まず紙の上で思考の物質化が始まる。そして描くことだけでなく、様々な処理による加工が可能である。紙は他の素材では到底考えられないほど多様な加工の可能性を持つ素材である。紙は視覚的対象であると同時に、私たちを包み込む環境そのものといえる。紙を素材として制作を続ける作家にとって、「なぜ紙なのか」という問いは、絶えず自分自身に投げかけられている。作品を制作しながら、その問いに対する答えを個々が見つけ出していかなければならない。新しい紙の造形は、新鮮な驚きと共に多くの新しい表現を生み出している。

 2000年の今、表現をすることの意義を深く考え、より豊かな世界を開示していきたいと願っている。

   


  「thing matter time 2000」(2000月7日〜12日・大阪・信濃橋画廊


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