筒井史

 Tシャツアート展も早25年、開催当初、私は11才、今の娘と同じ年です。25年といっても、つい昨日の事のようで、当時の自分といえば、「砂浜にTシャツ並べて何でアートなんだ!? 汚れるやん!わざわざ見に行く人なんかおるろか?」と思った記憶があります。何とも可愛げのない11才でした。
 ところが月日は経ち、自分の娘が出品するとなると、毎年せっせと足を運んでいるではありませんか!。行ってみると楽しいもので、気になる作品を観たら、日差しを気にしつつ、裸足で海へ直行! 小腹がすいたら、出店のB級グルメを堪能し、今では溢れかえるサーファーを眺め、ゆったりとした時間を過ごす‥、子供の頃にはつまらないと思っていたTシャツアート展、今ではすっかり恒例となりました。
 連休最終日であったにも関わらず、お天気にも恵まれ、今年もたくさんの人で賑わっておりました。

 自転車を描こう 井関さおり

 5月の第3週目、上級生の絵画の課題は「自転車」でした。
 教室に私のロードレーサーを持ち込んで、本物にじっくり向き合い描いてもらいました。
 植物や動物と違い、工業的に作られたものは形にごまかしがききにくいので、大人でも「難しそう・・・」と敬遠してしまいがちです。「みんなちゃんと自転車に取り組んでくれるだろうか」と少し心配していました。しかしなんと、多数の子がためらいなく積極的に描き始め、その出来もなかなかのものでした。せっかくなので、今回は絵をたくさん載せさせてもらいます。
 毎日どこでも目にするものですが、いざ「自転車を描いて」と言われて、すぐにきちんと描ける人は大人でもなかなかいません。
 ただ「見る」ことと、「描こうとして見る」ことは、ものに対する理解度が格段に違ってきます。描こうと思って見ていると、ハンドルのつき方、ブレーキの形、チェーンの構造など、どんどん頭に入ってきます。
 自転車でも特にロードレーサーは「走る」ことに特化しており、余計な装飾のない理にかなった形で成り立っています。
 描くことでこうしたものに向き合って、自然物とはまた別の、人間の作り出したものの面白さや美しさを見つけてくれていたら嬉しいなと思います。



都築房子

 香美市立美術館では6月1日(土)から7月28日(日)まで、タレントの片岡鶴太郎さんの絵や工芸品を展示する「片岡鶴太郎展 墨牡丹」を開催します。今年で画業18年を迎える鶴太郎さんは、タレント業の忙しい合間をぬって絵を描かれたりガラス工芸をされたりして、日本全国の各地で展覧会を開催されてきました。
 3月にNHK高知放送局の番組で、南国土佐でのモチーフ探しや仁淀川でスケッチする様子など今回の個展に向けた創作活動が紹介されていましたが、その折の作品も展示されます。タレントとしての鶴太郎さんとは違った別の面を見ていただけるのではないでしょうか。