アンティキティラの機械
紀元前100年頃の青銅と木でできた奇妙な残骸と破片。ギリシャの島アンティキティラの沖に沈んでいたローマ時代の難破船から、1901年に回収されました。当時はその価値が分かりませんでしたが、1951年から科学的な調査が行われます。やがて多くの科学者や技術者が研究した結果、天体の運行を細かく予測できる機械として復元されました。全体は30cmほどの箱で、取っ手を回すと中の歯車も回転し、それにつながる針が表示盤の目盛を指すようになっていました。主な表示盤は3つあり、表の1つでは3つの針で太陽と月の位置と日付を示しました。また惑星の位置も示したと考えられています。裏の2つは日食と月食を予測するものだったようです。表と裏に付く板には2000もの文字が刻まれ、機械の説明書のようでした。歯車は大小30個以上が複雑に組み合わさり、18世紀の時計並に精密。また15世紀にドイツで初めて使われたとされた特別な歯車の技術が既に使われていました。歯車は青銅の円盤を手作業で削って作られ、大きな歯車には223の歯がありました。この機械は持ち運ばれて、星占いやオリンピックの期日を知るのに使われたとされます。他では見つかっていませんが、アルキメデスが先に似たような装置を作ったとされ、それを発展させた可能性もあります。もしこれがさらに受け継がれ広まっていたら、私たちの機械技術の歴史はかなり変わっていたのかもしれません。
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