国吉晶子

10月の造形教室の工作でショートケーキを作りましたよね? そんなケーキの中に入ってお芝居をみられるというイベントに行ってきました。
高知県立美術館ホールの舞台の上に直径10メートルの巨大なショートケーキ。
大人はすこし背を曲げて、そのドアから2〜3人ずつ順番に中へ入っていきます。
シャンデリアのある部屋、パンが敷き詰められた部屋、壁から人の顔と手がにゅっと飛び出した部屋!ドアや窓を使って隣の部屋へどんどん進んで行くのですが、その際、窓の小さかったこと! ジャージで来ればよかったと後悔しました。
6つの小部屋を通り抜けると、そこは不思議な劇場。
赤いカーテンが開き、カナダからやってきたショートケーキ少女、シェフたちの身振り手振りによるお話が始まります。セリフはいっさいありません。役者の表情と「あ”っ」「う”っ」など何語ともとれない奇声、そして舞台上空から聞こえてくる、ワイングラスやフライ返しを使って出す様々な音、それだけで内容は十分伝わります。
すっかり話に入り込んでしまった子どもが「あそこにいるよ!」と出演者に教えてあげるハプニングも。
突然、上空からチョコレートの入ったかごが降りてきて、一口、パクッ。
2倍得したような気持ちになり、子どもはもちろん、大人も十分楽しめる公演でした。
つい先日「横浜トリエンナーレ」でゴミか、作品か、見分けがつかないほどの前衛美術作品をみてきたばかりだった私は、ほっと安心できたのでした。

井関さおり

11月24日の日曜日、高知県立美術館にて「りぶらあと」が開催されました。これは本を意味する「livre」と「art」をかけたタイトルです。美術館の回廊を使い、本にまつわる作品を参加者がブース毎にフリーマーケット形式で展示・販売するというものです。このイベントに、私たちはギャラリー「nBox」として初めて参加してきました。
「りぶらあと」は毎年好評だそうで、たくさんのお客さんが来られます。
nBoxでは毎年「ARTISTS BOOK」展を企画しており、そのアートブックたちを沢山の人に見てもらおう!と意気込んで、その本たちをメインに、日頃教室で作っているグッズやポストカード等いろいろと展示をしました。
「りぶらあと」に来るからにはお客さんたちは本好きに違いない、さあ読んで読んで!と待ち構えていたのですが、どうも皆さんグッズに目がいってなかなか本は手に取ってもらえない・・・。本をゆっくり読むにはお客さんが多く、人の流れが速いので長く一所に留まれないのが一因のようです。残念。
そのかわり、この日のために作ったグッズ「本読み牛」はずいぶん受けがよく、かなりの人がどれにしようか迷いながら買っていってくれました。
造形教室では毎年干支の置物を作っていて、来年の牛も今どんどん製作中です。
「本読み牛」は、この牛にちょうどの大きさのいろいろな本を持たせて、読んでいるように仕上げたものです。
この小さな本の表紙が凝っていて、「ウシの品格」「mo:nel」「ウシは見た目が9割」「ベルサイユのうし」「功名が牛」などなど・・・。すべて牛ネタなのです。牛に手がついて小さな本を持っている姿は「前へならえ」の姿勢にも似てなんとなくいじらしい感じで、でも持っている本が全部パロディなので、かなりのお客さんに笑ってもらってました。
いつになく賑わいを見せる美術館の雰囲気も良いものでした。
またこんな風にイベントがあり、展示室以外でもお客さんが気軽に楽しめることが増えるといいなと思います。