UFO情報の難しさ

昨年10月に紹介しました、スペリオル湖で戦闘機とUFOが発見されたという話は、残念ながら後に裏付けが取れませんでした。UFO研究者等が追跡調査をした結果、五大湖潜水社なる会社の実体や業績は全く確認できず、問題の映像はニセモノと見られました。会社のホームページは中身が消え、取材に応じていた人物は連絡が取れなくなりました。潜水調査の費用としてお金をだまし取ろうとしていた可能性が疑われます。1953年にUFOを追った戦闘機が行方不明になっている事件は事実ですが……。インターネットとパソコンの発達で、情報や画像が手軽に作られて世界に発信されるようになりました。UFOファンにとって魅力的な話や派手な写真があふれています。特に現在の携帯電話による映像は質が粗くて改造しやすいものです。詳しい調査が実行されるまでは、本当なのかウソなのか判断が難しいところです。昨年6月から8月にかけ、オーストラリアのあるホームページで立て続けに国内のUFO映像が掲載され、とても注目されました。いかにもオーストラリアでUFOの目撃が急増したように見えました。ところが、これはオーストラリア映画委員会の出資による実験企画だったのです。たくさんの映像がCG等で加工処理され、ニセの目撃報告とセットで提供されましたが、研究家も懐疑家もほとんど最後の方まで見破りませんでした。今年の3月、フランスの国立宇宙研究センターが過去半世紀のUFO記録を世界で初めてインターネットで公開しました。そのうち信用できる目撃で説明できないUFOは3割程度ということです。仮に宇宙人が地球を訪問しているとして、それが事実として認められるために実際には公的機関による認定が必要と言えます。それまでは、蓄積され続けるデータ自体は確実な証拠にはならないことでしょう。