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井関さおり |
皆さん図工の授業は好きでしたか? 2005年の文科省アンケートによると、図工の好きな子どもは多くても、図工を「重要だ」と思う保護者の方はあまり多くないようです。
以前は小学校高学年で年間70時間あった図工の時間ですが、今では3割減の50時間となってしまっているそうです。そして今ゆとり教育の見直しによって、さらに図工の時間が減らされるかもしれない、という状況にあります。
その流れに対抗して、アーティストや工学系研究者による『がんばれ!図工の時間』という名の活動が始まりました。図工の魅力を見直すシンポジウム、ワークショップ、署名活動などがあり、最近TVや新聞等にも取り上げられています。私は2月9日の『とくダネ!』で紹介されているのを偶然見ることができました。
そこで紹介された西門司小学校では、全校あげての図工教育によって、子どもたちにお互いを認め合う感覚が育ち始めた、ということでした。図工(美術)には「正解」がありません。「だからこそ、それぞれの良さを見つけて褒めてあげられる。それがお互いを認め合う気持ちに繋がるのでは」と担任の先生が語っています。
よくある「これが一体何の役に立つの」という問いかけは、「役に立つ」を「有益性」「換金性」と捉えている視点から出てくるように思います。
私は教室の仕事を通じて、絵を描きものをつくることの面白さ、その目に見えない価値を感じてきました。頭の中にあったものが形として立ち上がる面白さ、作品と向き合う事で自分の内面と向き合う事、自分では思いもよらない他人の発想を見つけ分かち合う事など、ひとくちに言いきれない良さが図工・美術にはあります。一見「役に立たないこと」と思われがちですが、このようなことは後々必ず生きてきます。格差の固定が懸念される今、公教育の場でこそできるだけ多くの子どもたちにその面白さを感じてほしいと思います。
『がんばれ!図工の時間』のURLはこちらです。署名もこちらから! |