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井関さおり |
『いわいさんちへようこそ!』(著者:岩井俊雄 / 出版社:紀伊國屋書店)
「いわいさんち」とは、メディアアーティストとして活躍する著者、岩井俊雄さんのお家です。いわいさんちにはロカちゃんという小さい娘さんがいて、いわいパパが彼女と作ったたくさんのものをこの本で紹介しています。
いわいパパはものをつくる人なので、絵を描いたり何か作ったりして、ロカちゃんを楽しませます。複雑な構造のものはなく、どれもしくみがシンプルなうえ、工作として「なるほど!」と思わせる工夫があって、すぐにまねしてみたくなるようなものばかりです。また、子どもの暮らしにも楽しく生かされていて、例えば、お風呂場の壁にひっつけて遊ぶシールは、遊びながらお風呂にゆっくりつからせることができます。
絵日記にも工夫があります。親子で書いているのですが、そこにはうそを書いてもよいことになっていて、いわいさん親子がペンギンさん親子になって描かれていたり、不思議な乗り物に乗っていたり、もとの出来事を写すだけでない楽しさがつまっています。
いわいパパは、ロカちゃんと一緒に絵や物作りをしながら、子どもならではの発想や感覚をとても楽しそうに共有しています。私も仕事をしながらいつも、子どもの発想って面白いわ〜と思ってきました。
親から子へ、何か完成されたものを与えるのでなく、共に作って感覚を共有して、更に新しい発想に向かう、ということは、親にとって子どもの感覚を再発見することでもあり、非常に創造的で楽しいことなのではないかなと思います。
とても読みやすく、子どもとの遊びのヒントになる写真がたくさん載っている本です。いわいさんちそのものも魅力的で、読んで気持ちの良い一冊です。 |