井関さおり

造形教室のスタッフとして働き始めてもう7年目になりました井関です。
絵や工作に限らず、手芸でも大工仕事でもお料理でも造園でも、自分で自分の好きなものを作ることは、いくつになっても楽しいことです。
この仕事をしながら子どもたちを見ていると、子ども時代に、積極的に絵を描く、物を作る、ということは自己表現の手段というだけでなく、自分の身の回り、「世界」に関わり手を加え変化させていく喜びを育てていくことにつながると感じます。ほかから与えられたものだけでなく、世界に自分が生み出したものが存在する満足感は、精神にとってとても深い意味を持つのではないでしょうか。そしてそれを自分が気に入る、ということは自分で自分を誇らしく思う、自己肯定の感情を生み出すことです。
自分に自信が無く、「自分なんて…」と卑屈になってしまう気持ちを経験した人は多いと思います。仕事としてでも、暮らしの中ででも、自分で何かを生み出し気持ちが満たされることは、気持ちよく毎日を生きていくために、お金で何か買って満たされることよりはるかに大きな意味があります。
子ども時代に経験した物作りの楽しい気持ちが、その後の長い人生の中で大切な心の一部になってもらえるように、この仕事を発展させていきたいと思っています。

ラーラ

 グァテマラの先住民族のいのちと暮らしは、途上国のほかの国々と同様、大国の謀略により長らく脅かされ続けてきました。
 6月22日の夜、連れ合いを奪われた女性たちの会”コナビグア”のアナ・ペレスさんのお話を、全国ツアー中の高知市内で聴きました。
 グァテマラは、メキシコの南隣に位置して北海道と四国を合わせたくらいの広さ、人口約1300万人でその6割がマヤ先住民族です。もっとも簡単に「マヤ」 と言っても、その使用言語は24もあり、色彩豊かな女性の衣装もそれぞれ村によって模様も色調も違うそうです。
 500年以上も昔、スペインに侵略されて以来ずっと、グァテマラはいまだに負の歴史が続いています。この国の内戦が終わったのは96年の12月、それから10年が経過しました。
 ”コナビグア”が設立されたのは1988年。内戦と軍による弾圧の中で、連れ合いを殺害されたり行方不明にされた女性、また農園での重労働によって連れ合いが病死した女性、「何もできない」と周囲も自分たちも思い込まされてきた女性たちが集まりました。全国規模のマヤ先住民族女性の組織は初めてです。”コナビグア”は、内戦中に政府軍による「ゲリラ掃討作戦」でマヤ先住民族が多く住む地域が壊滅させられたことなどを人権侵害として告発。あるいは、男性優位主義の続くなか、マヤ女性の権利とアイデンティティーを確立するために識字教育や政治参加を呼びかけています。でも現実はきびしく、マヤ先住民族の識字率は52.3%、マヤ女性はさらに低いでしょう。さらに、マヤ先住民族の貧困率は77.3%ですから、マヤの女の子が教育を受けるチャンスはきわめて低いのです。
 ”コナビグア”は、マヤ共同体の回復、マヤ文化の回復、ひいては奪われた尊厳の回復をめざして活動しています。私たちも、できることから応援したいですね。私は、この夜、日本の絣に似た藍色のイカット織のもんぺを2500円で購入。「私たちは同じモンゴロイド、着るものも似てるね」と言って、アナ・ペレスさんとハグしました。私たちはみな、仲間なのです。
 グァテマラ生産者支援ネットワーク「みるぱ」:Tel&Fax 0889-34-3696(栗田さん)