「影との戦い』ゲド戦記1 (著者:アーシュラ・K・ル=グウィン / 翻訳:清水真砂子 / 出版社:岩波書店) この夏、「ゲド」を原作としたアニメーション映画が公開されます。ついにゲドが、と感慨深い事態ですが、思い入れがあるだけに、心おだやかではいられない感じ。ゲドが絵になると思うと、落ち着いていられません。ただ、指輪物語からナルニア国を経て、ゲドに行き着く流れには納得しているのですが…。 アースシー(多島海・アーキペラゴ)という魔法世界を舞台に、大賢人と呼ばれたばれた大魔法使いゲドの子ども時代から青年時代を描いたのが本書です。1968年に第一作がアメリカで発表され、三作目あたりまでは児童書ファンタジーでしたが、その後は時間をおいて大人向けの内容で発表され、2005年にも新作が出ています。魔法の力の大半を失ったところから、生身の人間としてのゲドとパートナーの関係などが、老いという現実とともに描かれます。 『影との戦い』での少年ゲドは、ともかくハラハラさせられる存在でした。傲慢で未知数で、何のしがらみも持たない少年。地方の島に生まれた彼は、やがて力を見いだされ、ローク島の魔法学院へ進みます。しかしとんでもない事件を起こし、命を失いかけますが、大きな犠牲のおかげで再生し、「影」を追って放浪と懺悔の航海に出ます。若くして人生の最難関を経験してしまったゲド、これが普通のファンタジーであったら竜退治の英雄伝で終わるところが、そうはなりませんでした。もっとも、竜に関しては、偉大なゲドであることに変わりはないのですが。 ゲドという名前は、本来、誰にでも教える名ではありません。本書の根底には言葉への信仰が敷かれており、それは徹底したものです。少年時代のゲドには「ハイタカ」という名がありましたが、それは「真の名前」ではなく、力も使いこなせませんでした。読んでいると、人間も物も植物も、真の名前を知る(思い出す)ことによって完成され、魔法とは本質的には名前である、そんなアースシーの哲学が風のように吹いているのを感じます。私たちは若いゲドとともに、島から島へと旅をします。生涯消えない傷と絶望を抱え、ずっと遠い先の未来で出会うパートナーのことも知らず、ひとり船を進めるゲドの姿を想いながら。
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遅ればせながら、4月の半ばに新婚旅行としてハワイに行ってきました。 私は以前からハワイに対して、とても偏見を抱いていました。「日本人ばかり」「芸能人とゴルフ」「ブランド物」しかし友人たちからは、『行っておいでよ、すごくいい所だよ!』と勧められて、海で泳ぎたい夫の希望で決めました。ハワイ島に3泊、オアフ島に2泊の旅。 メインはハワイ島のマウナ・ケア(標高4205m)という富士山より高い山の上から、世界一と謳われる星空を見るツアーに参加することでした。ハワイ島はとても空気が澄んでいて、時間はのんびりと人々は陽気で親切、少し強い貿易風も湿気がないので気持ちよく快適でした。 星空のツアーには日本人10名で大きなアメ車に乗って出発。途中、低い気圧に身体を慣らすため標高2800m付近で休憩をし、早めにお弁当の夕食。少しずつ気温も下がっていきます。酸素も薄くなり頭がぼーっとしてきます。太陽が沈む前に山頂に到着。雪が残りものすごく寒い! 防寒具を借りて外に出ると、そこは見渡すかぎりの雲海。素晴らしい眺めでした。世界各国の天文台が並び(もちろん日本のも)そこでサンセットを見たあと、少し山を下った場所で星を待ちます。ひとつ、またひとつと星が増えて、いつのまにか大空いっぱいの星です! 月面に立ち、宇宙を眺めているような不思議な感覚に包まれます。私たちはむきだしで、ここにいる。地球という、宇宙から見れば惑星の一つに過ぎないこの小さな星に、私たちは存在しているんだ、という思いを強くするほどの星空です。人工衛星や木星、土星を見ながら、星座のお勉強。天候に恵まれてとてもラッキーでした。 このツアーは12歳未満のお子さんは参加できませんが、もし興味があるならばぜひ参加してみてください。子供達にも感じてもらいたい。宇宙は広い!深い!ぜひ自然を感じる旅にしてください。 高知も自然がいっぱいですけどね! ちなみにオアフ島(ホノルルワイキキ)は私の偏見通りでした(笑)今度は他の離島にも行ってみたいな〜。