−私たちのなかの子どもへ− (30) 久保慧栞

今回をもって久保さんの連載は終了させていただきます。3年半もの執筆お世話になりました。長い間ご愛読ありがとうございました。都築

「影との戦い』ゲド戦記1
(著者:アーシュラ・K・ル=グウィン / 翻訳:清水真砂子 / 出版社:岩波書店)

 この夏、「ゲド」を原作としたアニメーション映画が公開されます。ついにゲドが、と感慨深い事態ですが、思い入れがあるだけに、心おだやかではいられない感じ。ゲドが絵になると思うと、落ち着いていられません。ただ、指輪物語からナルニア国を経て、ゲドに行き着く流れには納得しているのですが…。
 アースシー(多島海・アーキペラゴ)という魔法世界を舞台に、大賢人と呼ばれたばれた大魔法使いゲドの子ども時代から青年時代を描いたのが本書です。1968年に第一作がアメリカで発表され、三作目あたりまでは児童書ファンタジーでしたが、その後は時間をおいて大人向けの内容で発表され、2005年にも新作が出ています。魔法の力の大半を失ったところから、生身の人間としてのゲドとパートナーの関係などが、老いという現実とともに描かれます。
  『影との戦い』での少年ゲドは、ともかくハラハラさせられる存在でした。傲慢で未知数で、何のしがらみも持たない少年。地方の島に生まれた彼は、やがて力を見いだされ、ローク島の魔法学院へ進みます。しかしとんでもない事件を起こし、命を失いかけますが、大きな犠牲のおかげで再生し、「影」を追って放浪と懺悔の航海に出ます。若くして人生の最難関を経験してしまったゲド、これが普通のファンタジーであったら竜退治の英雄伝で終わるところが、そうはなりませんでした。もっとも、竜に関しては、偉大なゲドであることに変わりはないのですが。
 ゲドという名前は、本来、誰にでも教える名ではありません。本書の根底には言葉への信仰が敷かれており、それは徹底したものです。少年時代のゲドには「ハイタカ」という名がありましたが、それは「真の名前」ではなく、力も使いこなせませんでした。読んでいると、人間も物も植物も、真の名前を知る(思い出す)ことによって完成され、魔法とは本質的には名前である、そんなアースシーの哲学が風のように吹いているのを感じます。私たちは若いゲドとともに、島から島へと旅をします。生涯消えない傷と絶望を抱え、ずっと遠い先の未来で出会うパートナーのことも知らず、ひとり船を進めるゲドの姿を想いながら。

(4) 詐欺とサービスと商売と チュンズ

 2003年の5月14日出国、バンコクで念願のアパートを借りた友人を訪ねたときのことだ。
 ドン・ムアン空港はトランジットで幾度か通過したことはあったものの、市内に滞在するのは二度目。ラーチャプラロップ通りのアパートは、ふたりで生活するにも支障のない広さと作り付けの家具があり、とても清潔な環境だった。転がり込んだ私を、3つ年上の彼女は快く歓迎してくれた。
 ネットショップを運営する同業者だった彼女と、バスに乗って雑貨や衣料の卸売り市場を探したり、土日はウィークエンドマーケットをのぞきに行ったりと、「よい仕入れ」を行うべく毎日忙しく過ごしていた。
  しかしさすがのタイでも、日本人は30日間以上滞在する場合ビザを取得しないといけないことになっている。帰りのチケットは6月17日。それならここいらで一度国外に出ようと、26日から30日まで、カンボジアへ行くことになった。
 カオサンロードから陸路でボーダーを越えるメンバーは、私たちふたりを含めて12人ほど。人目を憚らずイチャつく白人カップル、タトゥを入れた金髪の大きなお兄さん、3人ほど日本人の男の子も見えた。目指すシェムリアプは世界遺産アンコールワットで栄える町だ。
 国境で手続きしてからは車と運転手が交代、道路は舗装されていないため悪路としか言いようがなく、目的地に着いたのは夜の8時。いい加減腰が痛くなっていた。
 旅をしていると、いわゆる外国人対象の“ボッタクリ”というものがある。貨幣価値の差を利用し、儲けを沢山ふんだくってやろうという魂胆のふざけた輩はどこの国にもいるものだ。マーケットには、警備員のコスチュームを着せられたバイトであろうただの男が出入り口を見張る、えせ宝石専門センターのようなものがあり、売っているのは漏れなく質の悪い石かガラス玉。ひっかかる人もウッカリ者かもしれないが、ここで私は実に高い授業料を払ってしまった。ジャニーズばりの美しい容貌を武器に、女性バックパッカーへガイド付きアバンチュールを売る兄ちゃんも見かけたし(もちろんその逆も存在する)、学校へ行かず物を売って家族のために稼ごうとする子供たちも多かった。
 何に対して価値を感じ選択しお金を出すかは個人の自由だが、ここに限らず、秩序や道徳やモラルの感じられる環境は大切なのだな、と帰りのマイクロバスの中で、また激しく揺られながら思った。

輸入雑貨feicui 高知市一宮西町2-2-23 11:00-18:00(月曜休) phone/fax 088-845-1393

ラーラ

 5月20、21日、原水爆禁止四国大会が高知城ホールでありました。
 その基調講演で、イージス艦の宿毛寄港の背景にある米軍再編の実態を紹介していました。
 イージス艦は核兵器を搭載できることから、非核港湾化を決めた高知県ではとくに問題になっています。でも、事態はもっと深刻です。背景には、米軍再編があり、日本をまるごと基地にしようという企みがあります。宿毛港以前に、1〜2月名古屋港、2月室蘭港、長崎港、鹿児島港、4月秋田港、5月和歌山港、静岡清水港にすでに米軍艦が寄港しています。軍艦が「乗組員の休養と国際親善のために」寄港するなどというのは表向きの口実で、実態は、戦争のとき利用しやすい横須賀以外の港探しのために日本中の出入りしやすい港を調査中なのです。
 もう、日本まるごと米軍基地化は秒読み段階です。現に、山口県の岩国基地は、政府が「騒音対策のために」という口実で2400億円もかけて滑走路を広くしています。でも、これは基地機能の強化であり、厚木基地の2km内にいた赤ちゃんがひきつけを起こすほどの凄まじい騒音を出し続ける空母離着艦技術である、米軍パイロットの急降下急上昇訓練も想定されています。岩国基地は、米軍再編により120機ものジェット戦闘機が配備され、アジア最大の米軍基地となる見通しです。ほとんどの岩国市民が住民投票で「ノー!」と怒りの意思表示したのは当然ですね。
 高知県民もひとごとではありません。すでに、岩国から発進した戦闘機は、土佐清水市沖の太平洋上で戦闘訓練をしています。戦争をできる国にするため憲法9条を改悪し、黙って国のために従う国民を育てるために教育基本法を改悪し、国のやり方に反対する市民を弾圧するために共謀罪を法律で決めようとしている、そんな政府のやり方を、黙って見過ごしていていいのでしょうか。私たちはみな、この国の主権者のはずです。 (参考図書:江畑謙介『米軍再編』)
森田優子

遅ればせながら、4月の半ばに新婚旅行としてハワイに行ってきました。
私は以前からハワイに対して、とても偏見を抱いていました。「日本人ばかり」「芸能人とゴルフ」「ブランド物」しかし友人たちからは、『行っておいでよ、すごくいい所だよ!』と勧められて、海で泳ぎたい夫の希望で決めました。ハワイ島に3泊、オアフ島に2泊の旅。
メインはハワイ島のマウナ・ケア(標高4205m)という富士山より高い山の上から、世界一と謳われる星空を見るツアーに参加することでした。ハワイ島はとても空気が澄んでいて、時間はのんびりと人々は陽気で親切、少し強い貿易風も湿気がないので気持ちよく快適でした。
星空のツアーには日本人10名で大きなアメ車に乗って出発。途中、低い気圧に身体を慣らすため標高2800m付近で休憩をし、早めにお弁当の夕食。少しずつ気温も下がっていきます。酸素も薄くなり頭がぼーっとしてきます。太陽が沈む前に山頂に到着。雪が残りものすごく寒い!
防寒具を借りて外に出ると、そこは見渡すかぎりの雲海。素晴らしい眺めでした。世界各国の天文台が並び(もちろん日本のも)そこでサンセットを見たあと、少し山を下った場所で星を待ちます。ひとつ、またひとつと星が増えて、いつのまにか大空いっぱいの星です!
月面に立ち、宇宙を眺めているような不思議な感覚に包まれます。私たちはむきだしで、ここにいる。地球という、宇宙から見れば惑星の一つに過ぎないこの小さな星に、私たちは存在しているんだ、という思いを強くするほどの星空です。人工衛星や木星、土星を見ながら、星座のお勉強。天候に恵まれてとてもラッキーでした。
このツアーは12歳未満のお子さんは参加できませんが、もし興味があるならばぜひ参加してみてください。子供達にも感じてもらいたい。宇宙は広い!深い!ぜひ自然を感じる旅にしてください。
高知も自然がいっぱいですけどね! ちなみにオアフ島(ホノルルワイキキ)は私の偏見通りでした(笑)今度は他の離島にも行ってみたいな〜。