「とぶ船」(著者:ヒルダ・ルイス / 訳:石井桃子 / 絵:ノーラ・ラヴリン、太田大八 / 出版社:岩波書店) いつもポケットに入れていて、行く先を告げると大きくなり、あなたを乗せてどこにでも連れて行ってくれる魔法の船。そんな船を手にした少年、ピーターたち4人きょうだいが体験する冒険の数々。イギリスからエジプトへ、過去へも飛べる、未来以外はどこでも行けるという夢の船なのです。10才までの間に何度か読んでいるはずなのにほとんどおぼえていなくて、でも奇妙に懐かしかった一冊。 最後に船を手放す時期が来て、ピーターたちは船と別れ、大人への旅を続けます。そのこともこの本の面白さです。そして、それと同じ種類の深い味わいとして、過去の時代に生きているお姫様、マチルダという登場人物に惹かれます。自由のない暮らしを送っているマチルダは、未来の子どもたちと出会い、初めて友だちというものを知りました。便利で快適な未来の暮らしも気に入りますが、ピーターたちと別れるとき、はっきりと告げます。 「わたしは、わたしの時代のなかで、わたしらしく生きていかなければなりません。」(引用) そのことは、私たちにとっても大切な決意であり、”わたしらしく生きる”ことをまっとうすることが、いわゆる”自由意志”なのかもしれないと思います。他人から見た自分らしさと、内側から見た自分らしさは異なるとしても、また、他人のものさしに充分順応してゆける器用さを持っていても、やはり、私は私。自分を知るということは、簡単ではないけれど、年齢とともに探り当てた自分の本質を大事に、生きてゆければと思います。
9月半ばのある日、高知新聞の方から突然電話がかかってきました。 「第四小の○○先生からプールのお話を聞きまして……」という内容で、予期せぬ出来事に大変うれしいびっくりでした。 それから数日後、取材にも来てくださり、NPOの山下さんや、ら・どんなも取材し、9月21日、学校のプールにEMを投入する写真もとって、9月24日(金)の夕刊に思った以上に大きな記事として載せてくださいました。 その後、学校にも数件問い合わせがあるなど反響もあったようです。 新聞にも載っていたように、他にもすでに3校実施していて、4小中学校と保育園でも予定されており、第四小を通じて、私のところにも1校問い合わせがありました。 今回、こういう形で1つの結果がでたのは、半信半疑ながらも受け入れてくださった学校(校長先生)と、毎回4?のとぎ汁発酵液を届けてくれた息子と、NPOの山下さんを始め、まわりの方々の理解とご協力のおかげだと感謝しております。 これがまた、新たな第一歩として、ひとりでも多く、1校でも多く、興味を持ち、実践してくれるところが増える事を願うばかりです。
オランダはハーグに19世紀に作られたパノラマ・メスダグがあります。建物の中に入り切符を買って暗いトンネルのような通路を抜け、突き当たりの螺旋階段を登るとあずまやのような展望台に出ます。 そこからの眺めは360度。淡い春霞にも似た不思議な空気感とかすかな粘着性を感じさせる奇妙な現実感が、かるい目眩をともなって迫ってきます。そこには、周囲120m高さ14mのキャンバスに描かれた1881年のスヘフェンニンゲン海岸の風景が広がっています。展望の半分を占める陸地側は町の家並みや教会などが描かれ、海側には多くの船と砂浜で働く人々と演習中のオランダ軍騎兵隊などが正確な遠近法に基づいて写生されています。 さらに、展望台から遠景の一点を凝視しながら一歩足を踏み出したときに、風景がぐらりと揺らいで近づいてくる驚きは初めての異次元体験です。目の前の景観は油絵であり、絵の中の人々や海の波、空の鳥ももちろん動きはしないのですが、19世紀の世界が自分の回りに揺るぎ出る様は感動です。 残念なことにこの不思議な感覚は、単眼であるカメラやヴィデオでは伝えることが出来ないもので、現場で、両眼で実見する以外に方法はないのです。