アメリカの秘密結社

アメリカにはいろいろな結社やクラブがあります。秘密結社といっても存在が秘密なのではなく、会員同士が秘密の合図や儀式などを持ち、社交や援助をするものが殆どです。最大の結社はフリーメーソン。元々は18世紀の英国で、石工の建築組合に啓蒙思想が結び付いて誕生しました。ヨーロッパ中に拡大し、その自由と平等を求める精神はフランス革命を導きます。英国の植民地だったアメリカでは独立戦争に深く関係しました。初代大統領のワシントン以下、多数の有力者が会員だったのです。アメリカの国璽(国のハンコ)と1ドル紙幣の裏側にはメーソンのマークがあります。ホワイトハウスやワシントン記念塔、自由の女神などはメーソンの建築物です。その後も歴代大統領や有名人の中に多くの会員を生みます。伝統的に軍人にも多く、日本国憲法に関わったマッカーサー元帥もまた会員でした。しかし、今は会員数が減り続けています。これだけ世界に民主主義が浸透し、交通と通信が発達した現代では、わざわざ入会する意味合いが薄れているのかもしれません。
一方、最初から会員を限定している結社もあります。アメリカのエリートが育つ名門エール大学の構内には、スカル&ボーンズ(ドクロと骨──海賊の旗等に見られるもの)の本部が建っています。1832年に結成され、1年間に4年生15人しか入れないそうです。現在明らかになっている会員だけでも政財界の大物が目立ちます。大統領のブッシュ氏は3代そろって、また大統領選挙を争うケリー氏も会員です。やはり秘密の儀式や合言葉を用いて、卒業後もお互いに助け合うと言われています。秘密を守り共有していることが会員の結束と利益につながるため、秘密結社そのものがなくなることはないでしょう。