夏に、思いがけなく二人からプレゼントをしてもらった。一人は、K君。ある晩、「帰りました」と言うので玄関に出るとお土産げを大切そうに持って立っていた。お土産げは自分のお金でと、九州の大学に通いながら、バイトをしたお金で買って来てくれたとのこと。「涙が出そう」と言うと「喜んでもらえて僕も嬉しい」とK君。
もう一人はEちゃん。運転免許が取れたからと、初めて運転して報告に来てくれたのだ。人とうまく話せなかったり、校門で緊張のあまり、動けなくなる女の子だったので免許なんてそれはそれは…。「Eちゃんすごいすごい」と大声で喜びながら抱きついた。横でお母さんが泣いていた。K君はいじめに遭っていたし、Eちゃんは中学校に行くのを辞めていたので、二人の成長振りに驚いた。二人との係わりは一〇年前に作った「いっくゼミナール」だった。我家を開放して、ボランティアの先生に協力してもらいながら、子供たちの自立を応援していた時に来てくれていた。私はその時、Eちゃんに言ったことがある。「Eちゃんは学校の先生や同級生からは、お荷物みたいに思われているかも知れないけど、社会に出れば、誰よりもしっかり生きていけると思うよ」と…。「おばちゃんの言うた通りになったやいか」と大喜びした。大人社会に責任を感じ、子供たちとの係わりの中で役に立ちたいと思って活動して来た事が、こういう形で返してもらえるとは思ってもみなかった。私にとって今年一番のごほうびだ。
和田佐知子/うれし屋 tel:845-5601
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