都築房子

 香美市立美術館で現在開催中の「桑尾寿秋展−色彩のロマンチシズム−」は、そのお名前に「秋」の字があるように、今の季節にピッタリのすずやかで爽やかな展覧会です。展示室内の空間には、静かで穏やかな時間がゆっくりと流れています。
 1917年に高知市に生まれた洋画家・桑尾寿秋は、日本美術学校を卒業した後、世界各地を回って様々な色彩表現を追及しました。やがて1979年には創元会の委員、審査員となり、81年にはフランス美術賞国際展入選、高知県展洋画部門無鑑査など、2001年に84歳で亡くなるまで精力的に活動していました。
 今回は、1950年から90年代までの作品を一堂に展示して、幅広い表現を追求してきた色彩豊かな桑尾さんの世界を多くの方々に楽しんで頂くために企画しました。
 会場の中に置かれている桑尾さんのスケッチブックは自由に閲覧できるので、訪れた方がみんな熱心に見ておられます。このスケッチブックには作者の絵画制作にかける想いが溢れていて、とてもしっかりしたデッサンや風景のスケッチがたくさん残されています。
 お客さんは年配の方が多いのですが、これから絵を描きたいと思っている子どもたちや若い方々にもぜひ見ていただきたい展示です。なお、ご遺族の方のご好意により、会場内の作品はふだんの展覧会と違って撮影が許されています。自由に写真を撮っていただくことができます。
 展覧会は10月20日まで開催されていますので、ぜひ美術館までお越しくださいますようお願いいたします。

メガネモン

今年から私はクロスバイクと呼ばれるタイプの自転車に乗っています。20年以上乗った普通の自転車(まだ乗れます……)がありましたが、より速く走れて運動になりそうだったので、思い切って乗り換えました。クロスバイクは、舗装された道路を速く走れるロードバイクと、山道など舗装されていない道路も走れるマウンテンバイクの中間的な自転車です。それまでの自転車よりも軽く、前カゴが無く、タイヤが細めで、サドルの高さがハンドルと同じくらいで前屈みの姿勢で乗ります。はじめは変な感じでしたが、慣れるとサドルが低い自転車よりもペダルを回しやすくなりました。また、8段変速で坂道や自分の疲れに応じてギヤを選べるので、変速できない自転車と比べてずっと効率がよくて快適です。
一方、カギやスタンドやライトも付いていなかったので後から付け足しましたし、さすがに荷物を運びにくいと不便に感じて後ろの荷台にバッグを付けました。私のクロスバイクは通勤・通学用ということで、泥よけと荷台が付いていましたが、普通のクロスバイクならそれらもありません。以上を含め、普通の自転車、いわゆるママチャリの完成度に改めて気付かされました。必要な装備が最初から揃っている上に、重たい分頑丈で安定していて、太いタイヤが衝撃を和らげ、楽な姿勢で乗れます。そう遠くない数kmの距離をあまりスピードを出さずに走るのに向いています。さらに比較的値段が安いこと自体、大きな利点といえます。
しかし、クロスバイクは自転車との一体感がより強く、スピードを出して気持ちよく走れる感じがします。今はサイクルコンピュータも取り付けて、スピードや走行距離や時間などが乗りながら分かるようにしています。普段は時速20キロくらいで、速く走ると30キロ。必死にこげば40キロですが、危険ですし数秒で疲れるので続けられません。ちなみにロードバイクならもっと軽い上に、より前に屈むことで空気抵抗を減らせるのでさらに速く走れるでしょう。
今のところ、走る距離としてはコンビニやスーパーへの買い物など数km程度が多く、長くてもせいぜい家と造形教室を往復して30kmくらいです。クイックリリースという仕組みで車輪が手軽に外せるので、自動車に積み込んだり、大きな袋に収納して列車や電車に持ち込むこともできます(輪行といいますが私はまだやってません)。そのうちもっと長距離を走ってみたいと思っています。