「夏休みの宿題シリーズ」       井関さおり

 みなさんどんな夏休みを過ごされましたか? 私は展覧会の準備もあり、本当にあっという間の夏でした。
 造形教室では夏休み教室が開催され、普段来られない方達もたくさんご参加くださいました。ありがとうございます。学校へのお宿題に、皆さん色々な工作を作りました。その中でも特に凝っていたもの、面白かったものをご紹介します。

・I君、K君の貯金箱
 この2つの立派な貯金箱は、知る人ぞ知る「大工のKさん」にご協力頂いたものです。2人はKさんに丁寧なお手紙を書いて、この貯金箱が実現しました。どちらも元のきれいな木肌を生かして、得意な絵を描いています。どちらも夏らしく海の絵になりました。
 I君のクジラはお金を入れるとしっぽが動きます。
 写真では見えませんが、I君の海にはクラゲの経営する「レストランKURAGE」があり、K君の箱にはお父さんと自分と弟の絵が入っており、いい味を出しています。



・H君の奈良迷路
「H君、何作りたい?」「う〜ん・・・」
「動物とか、乗り物とか、迷路とか、なんかない?」「なら迷路」
 この「なら」はもちろん「それなら」の意味で言った言葉ですが、なぜかその場のノリで彼の工作はいつしか「奈良迷路」になっていました。
 奈良と言えば東大寺。そして鹿。迷路をころがるビー玉のゴールは東大寺の本堂で、鹿は粘土で作りました。東大寺に行ったことがない彼ですが、けっこう楽しんで作っていました。

 



・H君のジェントルマンランド
 奈良迷路に続いて、驚きのネーミング工作です。奈良迷路のH君とは別のH君です。
 なぜジェントルマンなのか。それは彼自身がジェントルマンだからです。よく教室で一緒に工作する女の子のTちゃんに、彼はよくいろんなもの(椅子など)をゆずってあげます。そこからいつしか彼は「ジェントルマン」と呼ばれるようになったのです。
 この工作はビー玉迷路ですが、「ジェントルマンランド」と名前がついたことでふしぎな輝きを帯びました(笑)
 ネーミングひとつで見え方が変わる。皆様も日常のいろんなものにお試しください。

・Cちゃんのケーキセンターしまむら
 昨年の「アイスセンターしまむら」に続き、今年もできてしまいました。しまむらシリーズ。
 まずネーミングに目を奪われてしまいますが、ケーキはとっても凝った作りです。ペットボトルのふたに和紙を貼って色をぬり、粘土でデコレーションをしてあります。いろいろ種類もあり、本人の書いたPOPの中には「ぶろう」(葡萄)、「どらいもん」、などのケーキも(笑)
 屋根、看板、棚やお皿、とても楽しんで作りました。私たちもとても楽しかったです。




・「紙とあそぼう展覧会」出品作品
 夏休みの宿題とは別ですが、いの町の紙の博物館で開催された「紙とあそぼう展覧会」に出品した作品を一部ご紹介します。

・Yちゃんの「馬路温泉でくつろぐかつお」
 こちらはカツオがゆず湯に浸かっている、コミカルな作品です。「ゆで節になるんじゃないか」というツッコミは置いておきましょう(笑)
 カツオのほっぺたがピンクだったり、頭のタオルに「うまじ」の文字が入っていたり、細部を楽しんで作っていました。Yちゃんらしい、かわいらしさも見える作品になったと思います。


・Kちゃんの「雲とフィアンセと私」
 こちらはKちゃんらしさが全開の、ロマンチックな作品です。
 雲の上で結婚式が行われています。とてもステキなシチュエーションですが、細部には妙に現実感があり見ていて飽きません。入り口には「中山家 中山家 結婚式場」。両人とも同じ姓のようです。「出席番号が隣だったのかしら」など妄想をかき立てられます。ご列席の皆様も表情豊かで、新婦の母、友人、親戚の子どもなど、リアリティがあります。
 Kちゃんはいつも独自の発想力があるので、私たちはとても楽しませてもらっています。これからも楽しみです。

 皆さんのおかげで、毎年新しく面白い工作を見せてもらっています。ありがとうございました。
 作った子たちも、「楽しかったな〜」という気持ちを記憶にとどめてくれていたら嬉しいです。
 さあ来年はどんな工作が生まれるでしょうか。