チョコ&たこやき 国吉晶子

 2月はバレンタイン。チョコレートの渡し方は年々多様になっているように感じています。女の子同士で配ったり、男の子からもらったり、兄から弟へ…。
 ラッピングもいろいろで、お店はキラキラするものであふれ返っていますよね。
 私たちは日常生活の中で、それらのものや状況をたくさん見ているはずです。
 しかし、実際のところ、人間の記憶はあいまいで、情報は脳の中を駆け足で過ぎ去っていき、あっという間に消えてなくなっています。自分で思っている以上に、ものをよく見ていないのです。実際に紙に描きとってみたり、形を再現してみたりするとよく分かります。
 造形教室では、工作を通して、子どもたちの記憶を呼び起こし、さらに手を動かすことで知識へとつなげたいと考えています。ただ「分からん」「忘れた」と言って諦めるのではなく、自分の記憶の引き出しを開けて、あれこれ取り出しながら試行錯誤した作品は、見ていて胸を打たれます。
 写真の2人の作品は、記憶と同じでなくても、自分の世界の中だけの「お店」が成立しているように感じ取れました。
 また、男子を中心に、たこやき作りにも挑戦しました。「昨日食べたばっかり〜」という子もいて、味を思い浮かべながら、自然と力が入りました。
 写真のK君のお店は「幸せを運ぶ南極街」にある「秘伝の甘辛たこやき」。お値段はあわせて7320円なり。レシートの数字もまるでレジの機械からプリントアウトされたみたいです。強い強〜いこだわりが感じられた力作です。


☆将来の夢はサラリー・パティシエ

☆アバウトになりがちB型女子粘りました!

☆レシート上下の凹凸部分にご注目!

都築房子

 香美市は全体としては細長く、山にむかって北東へ伸びている地域です。その中央辺りにある奥物部湖のほとりに奥物部美術館があります。物部町出身の小原義也画伯や現代アートを紹介する作品展を行っています。香美市立美術館がある土佐山田からはアンパンマンミュージアムがある香北を経て、さらにその奥が物部です。
 そこで先月から3月22日(金)まで安井勝宏さんによるアクリル画の個展が開かれています。安井さんは現在、学芸中高の美術の先生をされており、そのかたわらに自身の作品制作に励んでおられます。作風は抽象的ですが、何となく形があって、それが巨大な機械や宇宙戦艦のようであったり、原爆のキノコ雲のようであったりします。40代半ばの作者が考えている宇宙や時間、運命、文明などを言葉ではなく、色と形で表現しています。
 高知市からは少し遠いのですが、ドライブがてらぜひ足を運んで見ていただきたい展覧会です。奥物部美術館の下は物産館になっていて、景色が楽しめるレストランと素朴な山のものなどが買える売店があります。

メガネモン

 厄年を迎える私は先月、四国一の厄除けのお寺として有名な徳島県の薬王寺へお参りに行ってきました。厄年は人間が一生のうちで災厄に遭いやすいとされる年令です。
車で南国バイパスを東へ進み、国道55号線を海沿いに走り続けること3時間ほどで薬王寺がある美波町に到着。駐車場は車が多く、家族やグループで来ている人が多いようでした。薬王寺は四国霊場八十八ヶ所の一つなので、お遍路さんの姿もあります。近くにある大きなうどん屋さんは大賑わいで空席待ちでした。
お寺の境内では厄落としとして石段を登りながら一段一段、1円玉を落としていくと聞いていたので、入口の近くで50円玉を両替してもらいました。本当は自分で用意して家から持って来た方がよいかもしれませんが。さっそく前を歩く女性を見習って、自分も1円玉を落としていきましたが、よく見るとそこは33段ある女性用の女厄坂で……実はまだその上に42段の男厄坂があったのでした。石段には100円玉など他の硬貨も見られ、すぐいっぱいになりそうでしたが、お寺の人がほうきで掃いて回収していました。
男厄坂を登るとお寺の本堂があり、他のお堂にもお祈りして回ったり厄除けの鐘を歳の数だけついたりしました。
そこからさらに61段の男女厄坂が続いていて、せっかく来たので登ってみました。その先は遠くからも見えていた美しい立派な朱色の塔が建っていて、見晴らしがよく、美波町の街並みや日和佐城が見えました。
美波町は数年前のNHKドラマ「ウェルかめ」の舞台になったように海亀の町として有名で、道の駅にも海亀関連のものがたくさんありました。海岸の方には海亀の博物館もあるそうです。
それから数日後、作業中に脚立の上から転落する災厄に遭いましたが、幸い大ケガはしませんでした。女厄坂のため厄落としが不完全で災厄を招いたのか、それともお参りしたおかげで災厄が小さくて済んだのでしょうか……