3次元の図工 井関さおり

 今回は「紙ねんど工作」と「アスリートを描こう」の2つについて書こうと思います。
「紙ねんど工作」では、今回特に動物などの「立ち上がった姿」のものを作りました。「3次元」でものを作るためには、いろいろ意識していないと失敗してしまいます。ぐにゃぐにゃのねんどが、どうやったらちゃんと立ち上がり、丈夫に仕上がるのか。360°どこから見てもカッコ良く仕上げるために、どんな形に整えたらよいか。こうしたことは、ただ情報として知っているだけでは身に付きません。実際に手を動かし、重さや柔らかさを感じ、実物を確認しながら、目と手を通して身に付くものです。
 写真のうさぎちゃんは、360°どこから見てもきれいなボリューム感があり、とてもよくできていました。
「アスリートを描こう」は、上級生の絵画の課題でした。「人物を描くのが苦手…」という子は級生になるごとに増えるのではと思います。2〜3年生頃から「ものを見る目」が発達してきて、目はどんどんものをリアルに認識できるようになるのに、手はその見えた通りを絵に再現できない、というズレが起こり、描くのが嫌になるようです。特に「人間の顔」は少しの違いでも脳が認識できるようになっているので、よりズレを感じやすいところです。
「アスリートを描こう」では、顔よりも体全体を意識して描ける、動きのあるポーズの写真を参考にしました。アスリートは皆やはりかっこいいので、がんばって描けば絵の仕上がりもかっこよくなります。またここでも、ねんど同様「3次元」を意識することも心がけました。絵画用の関節が動く人形も用意して、人物の肩・胴・腰・足のつながりや腕の関節など、アスリートのポーズ通り見せたりして、その構造を伝えました。
 写真の2点はどちらも人物の体のバランスがよく、つながりをとてもきれいに描けていました。
 3次元を意識する、というのは案外頭を使うことです。しっかり手を使って頭を使って、子どもたちの力が育てば嬉しいです。

都築房子

 美術家の藤浩志さんは様々な活動を通して、地域社会とアートのつながりについて考えています。
 先日、高知県立美術館での講演会に私も出席して、その活動の一端を知ることができました。彼の最近の活動を例にとると、子どもたちが中心になって展開している「かえっこバザール」というプロジェクトがあります。それは、子どもたちが要らなくなったおもちゃを持ち寄って、物々交換によってそれを必要とする子どもが手に入れるというおもちゃの循環システムです。さらに壊れてしまったおもちゃやそのかけらを集めて巨大な恐竜を作ったりもします。このことで子どもたちは身の回りにある大量のおもちゃを再利用できることに気づきます。
 また別の活動では紙袋を使った簡単で安くできる灯明をたくさん作り、それをいろいろな形に並べるプロジェクトもあります。こちらは今年11月3日に高知県立美術館で実際に子どもたちに参加してもらって制作する予定だそうです。この日は美術館の開館記念日で1日中無料です。ぜひ皆さん参加されてはいかがでしょうか。(詳しくは10月頃に再び告知いたします)
 このように藤さんはどこにでもある物を材料にして、人と社会が「つながる仕組み」に関心があるのです。単に形のある立派な作品を作るのではなく、そのシステムこそが彼の作品というわけです。