国吉晶子

 先日、民芸品の調査を兼ねて、松山・道後へ行ってきました。東京や大阪の人から見れば「四国は一つの島」。ですが、住んでいる者からすれば、個性はバラバラ。今回は意外と知らない松山について、道後温泉につかりながら考えてきました。
「一六タルト」や「坊ちゃんだんご」は皆さんご存知ですよね?
「ひめだるま」となると…あまり知られていないでしょうか?
愛媛に古くからある民芸品で、大きさも装飾もいろいろ。注意して見ていると、観光名所やレストランなど様々な場所で
目にしました。
 また、有名な坊ちゃん&マドンナについても、共通したイメージ(記号)のようなものがあることに気づきました。マドンナはパラソルに赤いリボンといった風に、高知でいえば坂本龍馬とちょっと乱れた長い髪のようなものですね。
 最近のゆるキャラブームに乗って登場した「タルト人」。「バリィさん(今治市)」。個人的にはあまりかわいいとは思えないのですが…グッズは充実していました。
そして、実際に食べたミカンはどれも絶品でしたが、ミカン関連のキャラクターは多すぎです!笑
 今治タオルの一連の商品については、デザインやマーケティングに力を入れていることが伺えました。デパートの婦人小物売り場に並んでいるハンドタオルの多くは、実は今治産なのですね。私のお気に入りである道後温泉商店街にある今治タオル専門店「伊織」は耐震工事のため休業中でした。残念…
 また街では、松山弁かどうかはさだかでないのですが、「〜なんよ」という語尾をよく耳にしました。この記事を読んでいる方で愛媛県関係の方がいらしたら、是非教えてください!

 若冲さんの絵 井関さおり

 高知県立美術館では、今『琳派・若冲と雅の世界』展が行われています。若冲とは「伊藤若冲」という江戸時代の画家で、近代になり人気が上昇しています。大変緻密で、かつユニークな画風で、鶏をモチーフにした作品が特に有名です。
 造形教室では1月の絵画の週に、この「若冲さんの鳥を描こう」というテーマで上級生が取り組みました。日本絵画の雰囲気を出すために、画用紙は金色を用意しました。若冲の絵は大変細かく、落ち着いた色調の中にもたくさんの豊かな色が使われており、子どもたちが「こんなのムリ〜」と思ってしまうのではないかと少し心配していました。しかし、そんな反応の子は1人もおらず、みんなあっさりと好みの絵を決めて、どんどん能動的に描いていってくれました。金の紙に描くという目新しさと、若冲の絵のかっこよさに素直に反応した様子でした。
 「若冲を描くよ」と事前に聞き、先に展覧会へ見に行った子もいました。ただ展示物を眺めるのではなく、「これを描くぞ」と思って見ていたので、ずいぶん熱心であったと保護者の方から聞きました。ただ「見る」のと「描こうとして見る」のとでは、脳の使い方も全然違ってくるようです。記号的に認識するのではなく、対象のもつ形や色彩へのより豊かな気付きが出来てきます。今回の絵画の時間は子どもたちになかなか良い時間になったのではないかと思われます。
 美術館の展示は2月12日(日)までなので、まだ見られていない方はこの機会にぜひお子さんと一緒に足をお運びいただければありがたいです。(なお美術館主催の展覧会はいつでも高校生以下は無料です)。

19. 台所のこと 都築房子

 現代の子どもたちが台所(キッチン)を思い浮かべるとき、それは白くてピカピカしたきれいなシステムキッチンやオール電化のキッチンで、子どもたちが生活の中で「火」そのものを目にする機会はあまりなくなったのではないでしょうか。
 私たち人間は太古の頃より、焚き火をして肉を焼いたり水を沸かして調理をし食事を作ってきました。今から50年ちょっと前まで、私たちの生活の中で基本的には太古の様子とほとんど変わらない「火」を使う暮らしがありました。
 私が生まれ育った家では、台所の隅に「おくど」があってそこで薪を燃やしてご飯を炊き、お湯を沸かしていました。「おくど」は家の中心ともいえるとても大切な場所で、お正月にはしめ飾りとお餅をお供えしていました。そこでは一年中、朝早くから母や祖母が「火」を起こし、赤々と薪を燃やしてご飯を炊いていました。冬の朝、外がまだ暗い中で「おくど」の薪の炎が赤く、上にかけてあるお釜からは白い湯気が上がり、煙突からは黒い煙がモクモクと出ている様子はくっきりと記憶されています。寒さの厳しい頃は、「おくど」の前が一等席で、子どもにとってはとても暖かく幸せな場所でした。祖母が作ってくれたおこげのおむすびの味は今でも懐かしく思い出されます。大人にとっては、現代の炊飯器のようにスイッチをポンと押すだけでご飯ができてくるのとは大違いのとても大変な作業だったと思うのですが、そこには食事を作るダイナミックなエネルギーが満ちていました。
 現代の台所には、ガスレンジやIHクッキングヒーター、電子レンジなど数々便利な調理器具がそろっています。しかし、そこには人間の営みの基本である「火」の存在はほとんど感じ取ることができません。私たちはもう昔の暮らしに戻ることはできませんが、現在の私たちを取り巻く様々なエネルギーもその元は「火」なのだということを忘れないでいたいと思っています。