18. トイレの話 都築房子

 いつの時代にも、子どもにとってトイレはとても大切な問題です。50年以上も昔の日本では、現在のような水洗トイレは全く無く、家でも学校でもいわゆる「ボットン便所」で、子どもにとってトイレは臭くて暗くてちょっと怖い場所でした。私の家では、トイレは家の中にはなく外にあって、冬の寒い夜などは一大決心をして上にしっかり着込んで、懐中電灯を持って行かなければなりませんでした。小さい時はもちろん、親に付いて行ってもらいました。そんな様子でしたから、子どもたちの間ではトイレの下から妖怪の手が出てくるなどといった噂が広まっていて、用を足すときは必ず下をのぞいて怖い手が出てきていないか確かめていました。学校のトイレにも幽霊やお化けが出るという噂があって、1人で行くことがためらわれるような所でした。
 そんな時代の小学生だった私にとって忘れられない話があります。それはある時、友だちが同級生に自分の本を貸したところ、その借りた子どもが家に持って帰ったら、その家族が本のページを破りとってトイレで使ってしまったというのです。(本をトイレットペーパーとして使ったというわけです)
 当時は、今のようなロールのトイレットペーパーはなく、四角に切ったちり紙が高級品としてありましたが、一般には古新聞を切ってよくもんでトイレに備えて置いたりしていましたから、本も同じようにして使ったと思われます。しかし、本を貸した子が気の毒で、今でも心に残っているエピソードです。(当時家に本を持っている子どもは少なく、学校の図書館で借りるか、貸本屋さんで借りるかして読んでいました)
 また一方で、当時のトイレで溜まった下肥えは近郊のお百姓さんの農業に大切な肥料として活用されていました。現在は業者の人にお金を払って、くみ取りに来てもらっていますが、当時は直接お百姓さんが取りに来てくれて、お礼に大根などの農作物をこちらがもらっていました。昭和小学校の近くには農地が広がっていて、その肥溜めがあちこちにありました。同級生の中にはいたずらをしていて、その中に落ちた子どももいましたが、そんなに大事には至らなかったようです。今考えると、環境リサイクルが成り立っていたように思われます。

ポルターガイスト 井関さおり

 1月の第4週目、上級生の工作は「ポルターガイスト」でした。ポルターガイストとは、家の中の物がゆうれいのしわざで、勝手に動いたり飛んだりするもので、ひどいと家の中が台風のようになったりします。
 工作では、「静電気」が起きるしかけを使って、ハコの中でいろいろなものが飛び回るものを作りました。
 冬にセーターをぬいだり、シタジキを頭にすりつけたりしたときに「パチパチッ」と音がして、髪の毛が引っついたりするのは静電気が起きているからです。静電気は軽いものを引きつけたりする力があります。
 今回の工作の見本は、家の中の人や物が飛び回るように作っていましたが、子どもたちは「サッカー場で選手が動き回る」「春野町でねこや良心市のシイタケが飛ばされる」「無重力の宇宙船の中で飛び回る」などの面白いアイデアがたくさんありました。