井関さおり

今年もたくさんの子どもたちが夏休み教室に参加しました。ありがとうございます。就学前の小さな子から、小学生、中学生と、幅広い年齢の子どもたちがそれぞれ創作に打ち込みました。

その中で感じたのが、普段教室に通ってきてくれている子の姿勢の良さでした。
姿勢と言っても体ではなくそれは精神の方で、彼らがものを作る・絵を描くときに、自分がしなければならない事に対してまっすぐ向き合えている、ということを感じたのです。

もちろん環境に慣れているせいもあるでしょうが、夏休み教室中の小学生は決められた課題ではなく学校からの宿題に合わせて、自分で作るものを決めます。その中で、自分の考えを形にする事や上手くいかない時の問題解決に、主体的に取り組む姿勢が自然と見えてきたので、その度私は感心していました。

生徒さんが多くて忙しいとき、指示に頼らず一人で工作の不具合を直した子、時間のかかる絵の色付けを「手伝おうか?」と訊いたら「自分で頑張る」と答えてちゃんと最後まで仕上げた子、絵も工作も「これでいいや」と妥協せずに「こういう感じにしたい」とはっきり意識して取り組めた子。
そういう子はみんな最後に「自分でできた」という誇らしさを持って終われていたなと思います。

工作・絵画は「正解」のない世界です。ハウツーとしての技術もありますが、それ以上に「自分が何をしたいか」「そのために何ができるか」をきちんとつかめれば良い創作につながります。

子どもたちもいつかは大人になって何かの仕事に就くでしょう。いま絵を習っていてもその事を職業にする人はそう多くないかもしれません。でも、実体として手応えのある「もの」を通して、身につけた「姿勢」はあらゆる場面で生きてくると思います。

子どもたちの成長にとって少しは役に立てたかもしれないな、と私も手応えを感じる事のできた夏休みでした。