−私たちのなかの子どもへ− (19) 久保慧栞

『おおきなきがほしい』(絵本)
(著者:佐藤さとる / 絵:村上勉 / 出版社:偕成社)

 大きな木の上に秘密の家をつくって、本当の家や、まわりの世界からの逃げ場所にできれば。そんな想像は、大人にとっても、子ども時代の冒険心をしのぐ癒しを与えてくれるのではないでしょうか。20代でこの絵本を知ったとき、主人公の男の子が住む家の庭に“あるはず”の「おおきなき」は、その細やかな描写とささやかな希望で、若い心についた汚れを吸いとってくれるようでした。
 かおるは、本当に夢の家を持っているのではありません。もし庭に大木があったなら、と想像しているので、その気にさえなれば誰にでもできるはずのことです。おそらくこんな大きな木の上に、こんなすてきな家を持っている子どもは、世界じゅうさがしてもいないでしょう。
 お話の最後に、かおるは木の苗を庭に植えます。この絵本を読んで、同じことをした人もたくさんいることでしょう。庭がないから木が植えられないと泣いた人も。いつも暮らしている世界から離れ、独りになって、こぢんまりと、高い高いところにある家で暮らす夢。かおるは、妹ぐらいには教えてあげてもいいかなと考えていましたが、本当は鳥がたずねてくれるぐらいがちょうどいいのです。
 そんなあれこれを想ってみると、この絵本に出会った20代というのは、まだじゅうぶんにかおるの世代だったのだと気付かされます。歳を重ねてゆくことの力強い側面とともに。

ラーラ

 きたる7月16日(土)に高知県民文化ホールで、全国各地の自主上映でスタンディングオベーションを受けている映画、『東京原発』を上映します。
 原子力発電は、ウラン鉱を採掘して濃縮し、原子炉で危険を制御しながら核分裂させ、やっかいな使用済核燃料を何万年も保管する・・・というプロセスに、莫大なお金がかかります。そこで、「原子力発電は本当に安いの?」という講演を、太陽くん発電所をコープ吉田店の屋根に設置したプロジェクトリーダーの高知大学名誉教授(経済学)岩田裕先生がされます。また、老朽化してトラブル続きの原子力発電所は、地震の衝撃で事故を起こすのではないかと心配です。そこで、「活断層から起きる地震の長期予測」という講演を、南海地震対策で県下各地でひっぱりだこの高知大学理学部教授(自然環境科学)岡村眞先生がされます。
 映画と講演の実行委員会には、「子育てをしていても将来がどうなるのか心配でたまらない」と言う若いお母さんや、「“電気をたくさん使わないぞ”って、ひとりで頑張っていても虚しい」と言う若者も参加して、学習を深め計画をねりあげてきました。昼間仕事のある方のために、講演の模様をビデオ録画する撮影チームには、一昨年JEANS FACTORYのコンテンポラリーアートアワードでグランプリに輝いた小倉りささんもボランティアで参加します。応援してくださる市民活動団体は50を超えました。高知県民がこの国のありかたを考え語り合うきっかけとなるよう、みなさんもぜひ、おいでくださいね!