我が家の庭の南京ハゼの木に、毎年、毛虫が玉子を産みつけるのだが、それが今年は異常に大量発生し幼虫が葉を食べる音は昼も夜も終日鳴り止まず、9月には豊かにおいしげっていたすべての葉をついに食べ尽くしてしまった。虫たちは丸坊主になった樹上でしばらくの間はウロウロしていたが、そのうちゾロゾロと列をなして地上に降りてきてあちこちに散らばって食糧を探しはじめた。
しかし、好物の南京ハゼはあるはずもなく次々と地上で死を迎えていった。そして一匹残らず虫たちの去ってしまった丸坊主の木の枝からゆっくりと再び新芽が顔を出し、いっせいに青葉をよみがえらせたのであった。その再生は見事であった。
だが、これこそが地球再生のシナリオではないかと思い至り複雑な気持ちになってしまった。
南京ハゼの新緑は少し寒くなった11月の風に誇らしげにその葉をゆらしている。
2000年の地球の秋の小さな話である。