えとづくりの話
都築房子

 毎年、今頃から年末にかけて、教室の廊下にねん土でできた多数のふしぎな物体が並んでいる光景に目をとめられた方があると思われますが、この物体の正体は来年の「えと」です。今作られているのは来年のえとの辰です。
 このようなえと作りは今から十数年前から年々繰り返されてきました。はじめのうちは、ちょっとした思いつきから、石こうを使って簡単に制作し、年末の造形教室のクリスマスバザー用として50個くらい作っていました。ところが、紙の町いの町で和紙のお店を始められた方から、それを和紙で作って店頭で販売できないだろうかと話を持ちかけられたことから、それまでとは比べ物にならない数の「えと」を作ることになったのです。
 毎年、春頃から次の「えと」のデザインの構想が始まり、夏頃には大体の形が決まり、9月から本格的な生産がスタートしています。この正式な形が決まるまでには、何十個も試作を重ねて、少しずつ修正がなされて、決定版が出来上がります。それまでの試作にもなかなか捨て難い味わいがあり、教室の年末バザーではいつも完売されています。私たちの努力の結晶である「えと」が来年もみなさんの幸福を呼ぶ縁起物として、喜んでいただけますようにと祈りながら次々と作っています。

 建物の絵 井関さおり

 教室では毎月第3週目にいろいろな絵の課題に取り組んでいます。先月は「建物を描こう」ということで、上級生は町のいろいろな様子を写真にとったものを見ながら、描いていきました。下級生は自分の好きな場所(お家、保育園など)を描きました。
 写生会や学校の授業で、建物のある風景を描いたことのある方は多いと思います。私は子どもの頃、図工や美術の時間が好きでしたが、「建物」は苦手で「灰色ばっかりやん…」「四角ばっかりやん…」とつい思ってしまって、面白さを見付けられず描いていました。
 そういった自分の経験もあり、今回の課題は子どもたちにとってしんどくないかな、大丈夫かな、と少し心配していました。
 ところが今回、描き始めからずっとどの子もものすごく集中して、「だれた」「しんどい」とねをあげる子も全くおらず、驚くほど充実した時間になりました。
 工作をするときには、素材に合わせて使い方を工夫したり、いろいろな見立てをしたりして、発想力を養い、3次元でものを組立てる力がついてきます。
 一方、絵画の際、特に上級生は対象を「見る力」が大切になってきます。「観る力」と考えても良いかと思います。ものをよく「観る」には「集中力」が必要です。そしてそれを脳から腕に伝えて描くためには、運動するときとはまた別の「エネルギー」が必要です。
 今回の課題を通して、子どもたちにその「集中力」と「エネルギー」が備わっていたことに改めて気付かされました。皆がシーンと静まって絵に取り組むその時間の空気は大変清々しくて、見ている私が心洗われる思いでした。