井関さおり

 3月28日、宿毛「菜の花まつり」にて「春のリース作り」ワークショップをしてきました。
リースと言えばクリスマスですが、今回は春らしい仕上がりになるように、センニチコウやスターチスなどのお花をメインにして作る事にしました。参加者はほぼ女性で、皆さん初めてながらも手際がよく、どんどん華やかなリースが出来上がっていきました。小学生の子も何人か作りましたが、こちらも私の予想以上に上手く仕上げていて驚きました。
会場は河川敷の広場で、テントの下での屋外ワークショップとなりました。天気もよく、菜の花が咲く川縁に、すぐそばに見える山にはたくさんの桜が満開で、本当に気持ちの良いところでした。
せっかく宿毛まで来たのだから、ということで、次の日「沖の島アートプロジェクト」を見に行く事になりました。
沖の島まではフェリーで1時間20分ほどかかります。その日波が高かったせいで、私が乗ったフェリーは恐ろしく揺れ、今まで乗った船の中で一番怖かったです・・。「ゴン!」「ガン!」と波のぶつかる音(マグロでも当たってきたのかと思いました)が響き、横になっていても枕から一瞬頭が浮くほどの、遊園地マシン並みの上下動でした。
フェリーの試練を越え、着いた沖の島は大変海の美しいところでした。波打ち際まで澄み切ったエメラルドグリーンの海で、知る人ぞ知るダイビングスポットでもあるそうです。
島に点在する作品を追いかけながら、亜熱帯性の迫力ある島の自然にもふれて、「高知にこんなところがあったとは!」と新鮮な驚きばかりで非常に気持ちの良い時間でした。
宿毛も沖の島も、高知に住みながら私には初めての場所でした。宿毛での鰹はものすごく美味しく、沖の島の海は今まで見た中で一番きれいでした。
皆さんも機会があればぜひどうぞ。

14. お金の話 都築房子

 私が小学生ぐらいの頃は、まだまだ暮らしは楽ではなく、皆貧しい時代でした。今のように、銀行ローンや消費者金融など個人がお金を借りられるシステムはまだありませんでした。
 そんな時、頼りにしていたのが講といわれる助け合いの民間組織です。地域で信頼されている年配の人を世話人として、何人かのグループを作り、毎月世話人が皆から積み立て金を集めます。それを月に1回位の割り合いでくじ引きでグループのうちの誰かにまとめて支払うしくみです。
 私の祖父がその世話人をしていたので、子どもの私は興味深くその様子を見ていました。祖父はグループのメンバーの家を一軒一軒まわり、お金を集めていくのですが、私もよくお供についていきました。そして、講が開かれる日は、家の中をきれいに掃除して、ふすまを開け放し、たくさんの座布団を並べていきました。おじいさんは若い時に呉服屋の事務をしていたとのことで、帳面をつけたり算盤で計算したりすることが得意でした。そして、講のくじを作るのですが、白いきれいな和紙をハサミで丁寧に切って、まず順番を決めるくじを作ります。次に当たりを決めるくじを作ります。それらの作業は側で見ている私たち子どもにも緊張感のある空気が漂っていました。その日、講のメンバー全員がわが家に集まり、順番にくじを引いて、やがて当選者が決まると皆から集めたお金から世話人としてのおじいさんの手数料を引いたものがその人に支払われました。しかし、その時にどうしてもお金が必要な人がメンバーの中にいると、当選した人との間で話し合いがあって、その人に譲ることもありました。その時は講の決まりで、いくらかの利子のようなものが当選者には支払われていたようです。
 このようにして、庶民のささやかな金融が毎月繰り返されていきました。皆つつましい暮らしの中でちょっとした興奮を味わい、お互いの懐具合を計り小さな幸せを噛み締めていた時代でした。