(3) ミャオの【姐妹飯】 チュンズ

 2002年だったから、4年前の4月。
当時私はマニアなツアーに申し込み、中国貴州省の台江という地方まで苗(ミャオ)族最大のお祭りを見に行った。
  山奥へ続く一本のでこぼこ道。ひたすら車を走らせて、目指すは施洞鎮。
 年に1度のお祭り『姐妹飯』は、銀細工の冠と手刺繍を施した民族衣装に身を包んだミャオの女性たちが主役の日である。
 村のあちらこちらから、太鼓の音が聴こえてくる。
  軽快なリズムと、シャラシャラという銀の鈴の音。晴着を着け終えた順に、皆次々と輪に加わって踊る。お姉ちゃんに連れられたおチビちゃんや、まだまだ青春!のおばあちゃんまで。その姿は、とても美しい。
 様々に色付けをしたもち米を炊き、数日に渡って祭は続く。
 一番大きな会場は村外れの広い河原で、都会に出ていて祭のために帰郷した若者や他の地方から祭見物に来た人たち、カメラを手にした外国人の姿も多く見られ、河川敷一帯は大賑わいだ。
ここぞとばかりに手づくりの衣装や古着や装飾品をゴザの上に並べて商売をしている人もいれば、沢蟹の串焼なども売っていた。
 記念に買った錫製の大きな首飾りは、広州の空港で荷物検査の際に武器と間違えられ、危うく取り上げられるところだった。
「民族衣装を気軽に着てみよう展」〜少数民族の女性による色鮮やかな手刺繍〜
輸入雑貨フェイチュイ 5/16(火)〜 6/11(日)
高知市一宮西町2-2-23(県交通営業所より徒歩6分・P3台可)営業11:00-18:00(月曜休)

ラーラ

 NPO法人「土といのち」は、料理サークル「ブラウンライス」主宰の川上万利子さんから、(1)だれでも簡単においしく玄米を炊くコツ、(2)電気炊飯器と圧力鍋で炊いた玄米の違い、(3)ごはんをおいしくいただくおかずの工夫を伝授していただきました。
 玄米初心者や体の弱った方には、圧力鍋で玄米1:水1.2の水加減に塩少々加え、加圧して25分間炊くのが、もっちりして一番おいしいのですが、火加減に慣れるまで多少日にちがかかります。失敗のない手軽な方法は、圧力鍋に内鍋を使うのです。圧力鍋にカップ3杯ほど水をはり、ふたのない内鍋なら玄米1:水1.2の水加減に塩少々、加圧して25分間炊く、ふたのある陶器の内鍋なら玄米1:水1の水加減に塩少々、加圧して40〜50分間炊くと、確実にじか炊きのようなおいしさになります。一方、元気な方や夏場には、電気炊飯器で玄米1:水2の水加減に塩少々加えて炊くと、さっぱりとしたおいしさを簡単に味わえます。
 玄米には籾や黒ずんだものが混ざっていることがあるので、洗う前にしっかり目配りして取り除いておくこと。洗うときからおいしい水で洗うこと。洗った後、ざるでしっかり水分を切ってから分量の水と合わせること。こういうことも、コツのうち。慣れてしまえば、白米研ぎより簡単です。
 玄米に少量の塩を加えただけで、ほぼ完全な食事となりますが、みそ汁で日本伝統の発酵素材である味噌をいただきます。玄米菜食「マクロビオティック」は、砂糖や肉・魚・牛乳など動物性蛋白をいっさい使いません。酵母の生きている本物の味噌を使えば、魚由来だしは不要。あり合わせの里の幸=野菜をごま油で軽く炒めてから、水と海の幸=ワカメなど海藻を加えて煮立て、最後に味噌を溶き入れてできあがり。できたら、ごま油は圧縮生絞りのものを。透明で無臭なので、素材の持ち味がひきたちます。
 玄米ご飯にみそ汁、あと、たくあんとか、きんぴらやひじきの煮付けなど濃いめの味付けのおかずが少量あれば、けっこう満足できます。粗食にひそむ日本庶民の知恵の伝統は、マクロビオティックとして世界中に広まり、いま逆輸入で流行っていますね。
−私たちのなかの子どもへ− (29) 久保慧栞

「フック」(著者:テリー・ブルックス / 翻訳:二宮 磬 / 出版社:CBS・ソニー出版)

 このお話は、もともと映画が先。S・スピルバーグ監督による『フック』のオフィシャル・ノベライゼーションです。フックといえば、ピーター・パンの敵、フック船長。そう、これはフック船長と、大人になったピーター・パンがネバーランドで出会うことから巻き起こる、冒険と内省と愛の物語なのです。
 大人にならない永遠の少年のはずだったピーター・パンが、今や家庭を持って仕事の虫になっているという設定も面白いのですが、主役以上に異彩を放つのが、フック船長(タイトルからして)。
 礼儀(グッド・フォーム)の港に停泊するブリガンティン型帆船、ジョリー・ロジャー号の船長室に君臨する、孤独な海賊王フック。何が彼をしてピーターの宿敵たらしめたのかも、少しずつ明るみに出てきます。
 誰をも信じないフックの予期せぬ事態は、唯一信じて待っていたピーター・パンの、あまりな変容ぶりに最悪の裏切られ方をしてしまったこと。自分がピーター・パンだったことはもちろん、フックのことさえもすっかり「なかったこと」にして忘れ去り、大人になったピーター。それに対して、ある意味なんの進歩も後退もないフック船長。むしろ彼こそが、永遠の少年だったのかもしれません。
 フックのそばにも、原作『ピーター・パン』のエッセンスである「お母さん」という芯の糸が、しっかりと編み込まれています。フックがピーターの息子ジャックをそそのかした言葉に、本質をついたピーター論を見せられる思いです。
フック:「なぜ親はわが子を嫌うのか」